Fusobacterium (フソバクテリウム)属について:前編
初めての記事なので緊張しますが、記載していきたいと思います。
咽頭痛の原因菌といえば連鎖球菌、とくにA群β溶連菌(Streptococcus pyogenes)が有名かと思います。
最近ではC群やG群の連鎖球菌が有名になりつつありますよね!
連鎖球菌についてのまとめは後日記述したいと思います。
実は連鎖球菌以外に、咽頭痛を起こす原因菌の1つにFusobacterium属の菌が関与しているのではないかとの噂があります。
とっても面白そうですよね!!みなさんはご存知でしょうか?
Fusobacterium (フソバクテリウム)といえばレミエール症候群(別記事に記載)というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、そんな最近話題のフソバクテリウムについて今回はご紹介したいと思います。
『この記事を読む前に・・・』
この記事を読む前に、属と種、亜種についてご存知でしょうか?
理解されている方も多いと思いますが、もしわからないという方がいたら、先にその記事を読んでください。
▪️Fusobacterium属について
Fusobacterium属は嫌気性のグラム陰性桿菌で、主に2つの種が人間に感染症を起こす重要な菌です。
1つはFusobacterium nucleatum、もう1つがFusobacterium necrophorumです。
これらはヒトの口腔内〜咽頭部分にいるとの記述が多いです。
実際に私が知りうる限りでは、歯科治療の患者さんや耳鼻科の患者さんから分離されることが多い印象です。
特にF.nucleatumは歯周病関連の菌としても知られています。
Lemierre症候群を起こす原因菌として有名なのFusobacterium necrophorumの方なのですが、Fusobacterium nucleatumがLemierreを起こしたというCase reportも存在するようです。
Fusobacteriumを始めとした嫌気性菌は特に分離が難しいものが多く、はっきりFusobacteriumが原因菌であるとわかることが少ない印象です。
Fusobacteriumを始めとした多くの嫌気性菌は感受性が良いものが多く、少しでも血液培養などの検体を採取する前に抗菌薬を投与されてしまうとうまく培養できないことがあります。また嫌気性菌は酸素に触れるとすぐに死んでしまうものも多いため、実際にFusobacteriumが原因菌であったとしてもはっきりと培養で確認できることは少ないのも納得ですよね。
それに付け加え、少しマニアックなお話になりますが、他の嫌気性菌との混合検体である場合、それが先に発育してしまうとなかなかFusoがなかなか生えてくれないこともあるようです。
つまり例えば、Capnocytophaga属とFusobacterium属が含まれた検体を嫌気条件で培養したとしましょう。するとCapnocytophagaの方が発育が早いため、Fusobacteriumが増える前にCapnocytophagaが生えてしまい、検査では検出できない場合があります。
以上のようにFusobacteriumは非常に面白い菌であるため、今後また記事にさせていただきたいと思います!